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大星敏江さんは、月に一回甲子園に足を運び応援をするのを楽しみにしている女性である。「月一回甲子園に行く人くらいならナンボでも居る」などとバカにしてはいけない。彼女は岩手県盛岡市から、月イチで甲子園に通っているのである。
盛岡市の百貨店に勤務する敏江さんは16年前、掛布雅之が地元で講演会をおこなったときに参加し、サイン色紙をもらった頃からタイガースを強く意識するようになり、ラジオでかすかに聞こえる関西の野球放送に聞き耳をたてるようになった。 もともと高校野球ファンだった敏江さんは、友人と共に何度か高校野球開催中に甲子園を訪れたことがあるが、8年前横浜スタジアムで阪神の試合を観てから、タイガースの魅力にとりつかれ、一人で飛行機に乗り甲子園通いを始めるようになった。地鳴りのような応援のとりことなり、次第にその頻度は上がってゆく。本人は「月イチなんて、そんなに行っていません。去年は6回です。」と言うが、野球のシーズンは年に6ヶ月しかないのだ。
実は敏江さんには悩みがある。飛行機の揺れに弱く、すぐに気分が悪くなってしまう。そのつらさから逃れ、また少しでも旅費を倹約しようと、一度バスで盛岡から甲子園を目指したことがある。盛岡を夜10時に出発し、朝6時に東京に到着、一時間だけ休憩して再出発、午後2時に合計16時間かけて大阪駅に着いたときにはフラフラになっていた。こんなことはするものではないと気が付いたが、既に帰りのバス切符を買ってしまっている。しかもその日の試合は雨で中止となり、また翌日午後から16時間かけて盛岡に戻った。1泊4日、2車中泊、試合は観られずという地獄の経験をして、以後は苦しみに耐えながらも飛行機に乗るようにしている。
敏江さんの語る話は、阪神ファンなら涙なしに聞くことは出来ない。 盛岡の銀行預金は解約して、尼崎信用金庫のタイガース定期預金に振り替えた。優勝したとき利息が上がるのはよいが、この定期を解約する時には、また関西に来ることになる。先日見合いをしたが相手が巨人ファンと聞いて断った。盛岡はジャイアンツ・ファンだらけの街で、職場の同僚と一緒にカラオケに行っても、敏江さんが六甲おろしを唄うと嫌われる。どうしても唄いたくなると一人でカラオケボックスに入るという。地元で阪神のテレビ中継はほとんどないが、ケーブルTVに加入する金を払うよりは、甲子園行きをもう一回増やしたいと思っている。
今年は3/29開幕第二戦のベイスターズ戦を横浜に行って応援し、7−3で勝利。 4/30甲子園に来て、憎き巨人に6−2で勝利した。自らの努力・自己犠牲がタイガースの勝利につながっているという実感がある。「最後まで絶対にあきらめないで優勝を目指して欲しい。赤星選手の精一杯やる姿勢が大好き。今年は今岡選手の目の色が違っているのを感じる。」と語る敏江さんのポケットには、既に5月16日の甲子園巨人戦のチケットが一枚入っている。
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