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社会人となった宮原君の甲子園通いはさすがに回数が減ったが、それでもシーズン約30回。相変わらず「もらった給料はすぐに全部タイガースに注ぎ込む」生活を送っていたが、その宮原君が3年前に恋をした。相手は当時同じ会社に勤務していた井上陽子さんである。陽子さんは、はじめ野球にはほとんど興味がなかったのだが、宮原君が連れてゆくデートの行き先はいつも甲子園球場。しかたなく、と言っては失礼だが、いつしかタイガースの魅力に引きずり込まれて、いつしか彼女も、試合の日には家を出るときからタイガースのジャージ、タオル、メガホンに身を固める熱烈ファンとなる。
かくして二人は深く愛し合うようになり、2003年2月高知・安芸キャンプを二人で訪れ、トラキチ仲間達の前で、「今年、私たちは結婚します!そしてタイガースは絶対に優勝します!」と力強く宣言する。公約通り、二人は7月7日(星野監督の背番号にあやかった)入籍したが、宮原君には結婚式や披露宴をする十分な金がなかった。「優勝するまでは式を挙げません」と強がってみたが、たとえ優勝しても立派な披露宴を挙げることなど思いもよらなかった。
二人の宣言通り、阪神タイガースは9月15日悲願の優勝を遂げる。優勝前の数ヶ月は甲子園のチケットが全て売り切れの状態だったが、二人は2月下旬のチケット発売開始日に、「なんとなく9月15日に優勝するような気がして」当日のライト外野席2枚を半年前から購入しており、星野監督の胴上げを目の前で見ることが出来た。
二重の幸せに浸る彼らにとって、いよいよあとは結婚披露を残すのみとなったが、先立つものが不足している。そこへ神様のような救いの手が差し伸べられたのである。
阪神タイガース私設応援団のひとつである「IBM Tigers会」(IT会)が優勝を祝うために、10月3日帆船型豪華観光船サンタマリア号をチャーターし、大阪湾上で二百数十名を集めてのパーティーを企画した。そしてIT会・山岡会長、國定常任理事らのご尽力により、その船上祝賀会で二人の結婚を祝うセレモニーをやってもらうことになったのである。船上パーティーには、来賓の中村鋭一氏、阪神・中西清起コーチ、私設応援団・西河代表、島野リーダーら憧れの人達も参加し二人の門出を祝ってくれた。フジテレビ系列の取材があり、テレビカメラの前でインタビューまで受けた。洋上の豪華船で二百数十名のトラキチの祝福を受け、最高のご披露ができたのである。
「阪神タイガースを愛する者同士という理由で、自分たちのことをこんなにまで祝ってくれる人達が居る。私たちはこの日のこと、そして阪神タイガースを愛する人達への感謝の気持ちを生涯忘れません。」と二人は誓う。
宮原尚顕・陽子さんの幸運は、これだけでは終わらなかった。
婚礼貸衣装大手のワタベ・ウェディングが企画した「阪神タイガース優勝記念・虎のドレスを着ての記念撮影に77名を無料ご招待」に応募したところ、多数の応募者の中から見事当選。世にも希なる「タイガース婚礼写真」が実現した。(新郎の黄色いタキシードは、ヤングブラッドが寄贈)
まったく金をかけずに素晴らしい披露宴をすることが出来た二人は、「浮いた分で新婚旅行にも行ける!」と、今度は「阪神タイガースV戦士と行く優勝記念オーストラリア・ツアー企画」に申し込んだところ、これも驚異的な競争倍率の中、見事当選! 星野監督・岡田二軍監督(当時)・桧山・今岡・金本・片岡・赤星・薮・八木・藤本ら夢にまで見た人達に同行しての、ゴールドコーストでのハネムーンが実現した。
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