通称ザコ君、こと田村久志さんは昭和53年生まれ、現在慶應義塾大学5年生の24歳である。 父の仕事の関係で幼少時代から大阪に住み、関西人である父親の影響を受けて、ごく自然にタイガースファンになった。小学2年の時、阪神優勝を体験する。
ザコ君は新しいタイプのプロスポーツファンと言えよう。阪神タイガースだけでなく、千葉県在住の彼は、ロッテ・マリーンズと、Jリーグ・ジェフ市原も熱狂的に応援し、週末は必ず3チームのどれかをスタジアムで応援する学生生活を送っている。各チームの開幕戦は毎年欠かさず見ているという。
2年続いて東京ドームでおこなわれたタイガースの開幕戦。2001年は指定席を購入することができたのだが、今年は自由席券しか手に入らなかったので、席を取るために早朝から並ぶことにした。始発電車に乗って朝6時前に東京ドームに到着したときには既に800人が並んでいた。一番早い人は2日前から座っていたそうだ。プレーボールまで12時間待つことになったが、見知らぬ熱心なタイガースファンが大勢周囲にいたため、退屈とも寂しいとも思わなかった。午前9時頃からマスコミが続々と取材にやってきた。カメラマンが近づいたので、ここぞとばかり数名でメガホンを叩き、六甲颪を歌っていたら写真を撮ってくれた。
夕方となり試合開始が近づいた頃、ザコ君の携帯電話が鳴った。「おい、お前東京ドームに居るだろ!毎日新聞の一面にお前の写真がデッカク載ってるぞ!」と友人から言われたときは本当に嬉しかった。早くから並んだが席は取れず、結局立ち見にての観戦となったが少しもつらいとは思わなかった。
いよいよ試合開始。大敗した昨年とは様変わりの阪神の猛攻・堅守に、彼は酔いしれ声を張り上げた。憎き巨人を倒しての開幕勝利が目の前で成し遂げられ、感動の渦の中に居ることの幸せに彼は浸った。
社会人になったら年間シートを買うのが夢だという。公認会計士を目指して一年休学したザコ君であるが、望み果たせず現在は求職中である。就職戦線に世間の風は冷たいが、タイガースの試合を見るためにも勤務地は東京か大阪でないとダメだと言い切る彼の戦いは続く。
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